この場にいる全員が自分たちに注目している。

愛香は自分がとんでもないことをしてしまったと悟った。

「――ご、ごめんなさい!」

愛香は早口で田上に謝ると、カバンを手に持った。

「ひ、冷やしておけば治りますから!」

愛香は田上にそう声をかけると、逃げるようにこの場から立ち去った。

「あっ、白川ちゃん!」

マキヨは愛香の後を追いかけようとしたが、殴られた田上の方が気がかりだ。

「たーやん、ごめんっすー。

白川ちゃん、こう言うところに参加したのは初めてだったからビックリしたんっすよー。

ホント、ごめんっすー。

マキの顔に免じて許して欲しいっすー」

マキヨは田上に何度も頭を下げた。

田上は口を閉ざして黙っている。

「ホント、ごめんっすー。

白川ちゃんも悪気はないと思って殴った訳じゃないと思うんすよー」

愛香に殴られた田上に謝ることに必死で、マキヨは山のように送られた小夜子からのメッセージに気づかなかった。