「で、でも、そんな勝手なことをしても…」

何より、自分は結婚前の思い出作りとして参加しているだけである。

思わぬ状況になって戸惑っている愛香に、
「大丈夫だよ、俺らが抜けてもたいしたことないって」

田上はさらにいやらしく笑って、愛香の太もものうえに手を置いた。

(気持ち悪い!)

「――い、嫌ッ!」

直後に聞こえた乾いた音に驚いたのは愛香だった。

「あっ…」

「イッテー…」

田上の左頬に手形がついていた。

太もものうえに置いてきた彼の手に嫌悪感を覚え、思わず手をあげてしまったのだ。

「し、白川ちゃん…?」

さっきの音にようやく気づいたらしく、マキヨが訳がわからないと言った様子で声をかけてきた。