「明るくてノリがいい性格だったからと言う理由で春田さんを雇った訳だけど、今となってはそれが仇になってしまったような気がするわ…」

由紀恵はやれやれと息を吐いた。

「仇になったって?」

幸代は首を傾げて由紀恵に聞いた。

「この間まで彼女は大学生だった訳でしょう?

まだ社会の常識をそんなに知らない訳だから、もしかしたら厄介なことが起こるんじゃないかと思って。

もし起こったらできる限りのことをして彼女を守ろうと思っているけど」

そう答えた由紀恵に、
「なるほど…」

幸代は呟くように返事をした。

「そのうえ、白川さんは今まで友達がいなかったそうだし…もしかしたら、春田さんを本当の自分の友達だと勘違いをして何かをやらかすんじゃないかしら」

「それは言い過ぎだと思いますよ。

友達はいなかったかも知れないですけど、白川さんの方が年上です。

ある程度の常識は理解していると思います」

幸代は首を横に振って、由紀恵の心配を否定した。