1週間が経った。

「それじゃ、行ってきまっすー」

マキヨがオフィスを後にした。

「最近、単独で派遣されることが多くなりましたね」

彼女を見送った小夜子が澄香にコーヒーの入ったマグカップを差し出した。

「ホントね」

澄香は小夜子の手からマグカップを受け取ると、
「成美ちゃん、一緒に行かなくてもいいの?」

少し離れた先のデスクで事務作業をしている成美に声をかけた。

成美は書類から顔をあげると、澄香のデスクへ歩み寄った。

「まだ日が浅いから一緒に行ってあげたいんだけど、依頼者がどうしても春田さん1人じゃないとダメだって言ってるのよ」

成美はやれやれと、息を吐いた。

「えっ、そうなんですか?」

小夜子は驚いたと言うように聞き返した。