「同じ…」

小夜子の後ろ姿が見えなくなっても、由紀恵はその場に立ちすくんでいた。

――信じていた人たちに裏切られて、誰も自分の話を聞いてもらえなくてつらかった思いは、社長が1番わかっているはずです!

先ほど小夜子が強い口調で言ったその言葉が、頭の中でリプレイしていた。

友達だと信じていた同級生たちからの裏切りにあい、いじめられて、死にたいと思った中学時代の苦しい日々も頭の中でよみがえった。

その時に由紀恵は友達にも選ぶ権利があればいいと思ったのと同時に、浜島のような人間にならないことを誓ったはずだ。

人の話に耳を傾けない、人を陥れることしか考えていない浜島のような人間にならないことを心の底から誓った。

(光浦さんから見た今の私は、世界で1番大嫌いな人なんだ…)

そう悟った由紀恵はカバンの中からスマートフォンを取り出した。