1週間後、夏休みを迎えた小夜子はN県を訪れていた。

「暑いな…」

駅を出ると、蒸し暑い空気が小夜子の躰を包んだ。

先ほどまで冷房がよく効いていた電車の中にいたので、この暑さは躰にこたえた。

「えーっと…」

小夜子はカバンの中からメモ用紙とスマートフォンを取り出した。

スマートフォンの中に入っている地図アプリを起動させると、メモ用紙に書いてある住所を打ち込んだ。

ここへくる3日前に興信所に依頼して調べてもらったのだ。

メモ用紙をカバンの中に入れると、スマートフォンの地図アプリを頼りに小夜子は目的地へと足を向かわせた。

「この辺りか」

小夜子はスマートフォンから顔をあげると、周りを見回した。

そこは住宅街だった。

もう1度、スマートフォンに視線を落とすと再び目的地に向かって歩き出した。