その後は大変としか表現のしようがなかった。

浜島は救急車に乗って、病院に運ばれた。

午後になってようやく容態が落ち着いた小夜子は、幸代と一緒に警察から事情聴取をされた。

由紀恵は警察からの取調を受けるために警察署に向かったのだそうだ。

警察からの事情聴取を終えて解放された時、時計は夜の９時を過ぎていた。

「――何だか１日があっと言う間だったな…」

小夜子は呟いた。

こんなにもめまぐるしい１日を過ごしたのは初めてだ。

昼の暑さが残っている夜風を肌で受け止めながら、小夜子は思った。

浜島の耐えていたその顔が、泣きながら何度も謝っていたみち子の顔と重なった。

どうして重なったのかはよくわからないけれど、２人は同じなのだと小夜子は思った。

（浜島さんが社長に謝りたかったように、みち子ちゃんも綾美ちゃんに謝りたいはずだ）

小夜子は決意を固めると、夜空に浮かんでいる三日月を見あげた。