【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~

そんな由紀恵に怯えていたら、
「困ります、やめてください!」

幸代の叫ぶような声が聞こえた。

バタバタと、こちらに向かって走ってくる足音が聞こえる。

(マズい、きた…!)

小夜子が思った瞬間、大きな音を立てて目の前のドアが開かれた。

由紀恵の大きな目がさらに大きく見開かれる。

「由紀恵ちゃん、逃げて!」

浜島の後ろから幸代が叫んでいる。

(ど、どうしよう…)

由紀恵と浜島の間に立っている小夜子は、2人の顔を交互に見つめることしかできなかった。

「――美作、さん…」

浜島が由紀恵の名前を呼んだ瞬間、
「――あんたの顔なんか見たくない!」

由紀恵は悲鳴のような声で叫んで、デスクのうえの電話を両手で持ちあげた。