翌日、小夜子は会社に出社した。

「おはようございます。

昨日は連絡が遅くなってすみませんでした」

そう言った小夜子に、
「いいのよ、光浦さんの身に何もなければそれでいいから。

はい、残業申請の書類ね」

幸代はそう言っていつものように書類を渡した。

「あっ、それと…ビーチパラソルとビーチボールをありがとうございました」

小夜子は借りていたビーチパラソルとビーチボールを差し出した。

「はい、どうも」

幸代はそれらを受け取った。

「あれ?」

小夜子はキョロキョロと首を動かして周りを見回した。

「川越さんは今日はどうしたんですか?」

指導係の澄香が出社していないことに、小夜子は気づいた。