「酷い顔してるな?」
「そう?頭が混乱してるからね」
時が止まっているかのようなこの空間で、深呼吸をし、アルコールを体内に流し込んだ。
「ねぇ。文ちゃん。過去を知っている男と何も知らない男。どっちが安らげると思う?」
ワイングラスを磨く手を止めた文ちゃんは視線を天井へと向ける。
これは文ちゃんが考え事をしている時の癖だ。
「安らぐって意味の捉え方にもよるけど……俺は知らない奴かな」
「やっぱりそうだよね。おかわり」
あたしは空になったグラスを文ちゃんの近くに置いた。
「ただ、本当の意味での安らぎはすべてを知ってもらえないと無理なんじゃないか?」
綺麗な長い指でカクテルを作る文ちゃんをジーっと眺めていた。
「どういう意味?」
「その日だけの安らぎなら、何も知らない奴のほうがいい。めんどくさい事を考えなくていいからな。ただ、その安らぎを継続したいのなら話は別だろ?何も知らない奴はそれまでの安らぎって事だ」
どんな事にも真面目な文ちゃんはいつだってこんな風に真剣に答えてくれる。
丁度いい距離を保ちながらも、確信を付く文ちゃんは只者ではない。
「そう?頭が混乱してるからね」
時が止まっているかのようなこの空間で、深呼吸をし、アルコールを体内に流し込んだ。
「ねぇ。文ちゃん。過去を知っている男と何も知らない男。どっちが安らげると思う?」
ワイングラスを磨く手を止めた文ちゃんは視線を天井へと向ける。
これは文ちゃんが考え事をしている時の癖だ。
「安らぐって意味の捉え方にもよるけど……俺は知らない奴かな」
「やっぱりそうだよね。おかわり」
あたしは空になったグラスを文ちゃんの近くに置いた。
「ただ、本当の意味での安らぎはすべてを知ってもらえないと無理なんじゃないか?」
綺麗な長い指でカクテルを作る文ちゃんをジーっと眺めていた。
「どういう意味?」
「その日だけの安らぎなら、何も知らない奴のほうがいい。めんどくさい事を考えなくていいからな。ただ、その安らぎを継続したいのなら話は別だろ?何も知らない奴はそれまでの安らぎって事だ」
どんな事にも真面目な文ちゃんはいつだってこんな風に真剣に答えてくれる。
丁度いい距離を保ちながらも、確信を付く文ちゃんは只者ではない。


