time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~


あたしは何か犯罪を犯しているわけではないけど、浅葱は共犯者といった存在だ。


お互いを深くは知らないけど、危なくか細い線で繋がっている浅葱とあたし。


自分の過去や現在、すべてを知り、理解してくれる人間だけが心の拠り所になるわけではない。


何も知らないからこそ……


何も理解していないからこそ……


心が落ち着くのだ。


ゆめかとして生きているあたしをゆめかとして扱ってくれる浅葱。


この男といるとあたしは息苦しさを感じなくて済む。


「今日は何かあった?」


「えっ?」


浅葱の鞄を持ちながら、テーブルに着くと浅葱はあたしの変化を察知する。


「少し落ち込んでるかもしれないな。浅葱さん以外のお客様に付いたから」


「そうか。今日はラストまでいるから安心して。もう他の客には付かなくていいよ」


少しだけ目に涙を浮べ、浅葱の手を握っているあたし…――


頭の中は未だに混乱しっぱなしだというのに、よくこんなことが出来ると、自分自身感心してしまう。