俺等がヘブンでこの辺を走っていた頃にはもっと廃れた場所だったはずなのに……


今ではガラリと雰囲気が変わってしまって、あの頃の面影など感じない。



変わっていくのは本当に早いな。


そんな事を思うとアイツに会いたい衝動にかられてしまう。



「確か。ここだ」


そう言って翔が立ち止まったのは、男達が好き好んで入るような店ばかりが詰め込まれたビルだった。


ここにアイツがいる……


恋愛すら知らなかったアイツがこんな所にいるなんて…――



想像もできない。



「豊。行くぞ」


「あぁ」


付き合いで、キャバクラに行った事は何回もある。


この店のようにキャバクラと呼んでいてもいいのか?ってことをさせている店にも行ったことがあるのに……


まるで初めての体験に緊張と期待を膨らませた少年のように俺の心臓は飛び上がっていた。