「バイクで行くのか?」


「止めるとこねぇだろ?」



バイクを押しながら後ろをついて来ている翔のために工場のシャッターを開けた。



「だな。盗まれたら洒落にならねぇし」


翔がバイクを工場の中に止めたのを確認して、俺はアイツの元へと向かって歩き出した。



「歩きかよ?」


「それ以外何で行くんだよ?」



煙草を咥えた翔が俺の隣に並ぶ。


こうして並んで歩くのは久しぶりな気がする。


大袈裟だけど、高校以来ってくらい久しぶりだ。



「社会人なんだから、タクシーとか使ってくれよ」


「俺はそんな金持ってねぇよ。お前が払え」


「学生に向かって、そんなこと言うのか?」


くだらない話をしながら、歩いているとあっという間にネオンが輝く場所へと足を踏み入れていた。