大量にあったチャーハンをペロリと完食したあたしはソファーの上に寝転がった。
「さすがに食べ過ぎた。」
苦しいお腹に手を当てて、重大なことを思い出す。
そうだ……鞄。
昨日、買い出しに行った時に持っていた鞄を押し入れの中から引っ張り出し、中の物を手に取った。
豊が家にいない時なんて、次はいつかわからない。
どう考えても今日実行するべきだと思う。
違うなら、こんな悩みを抱えていることはないんだし……
でも、勇気が出ないあたしは、箱を握り締めたまま一時間近くもその場に座り込んでいた。
「よしっ。」
何度もそう意気込んでいるのに、重たい腰が上がらない。
「豊が帰ってくる前に済ますんだ。ビビるなあたし。」
もう一度気合いを入れ直し、トイレへと足を進めた。


