「これから出かけてくる。」


「えっ?」


別に予定なんかはないんだけど、寝過ぎたことにショックを受けていたあたしは勢い良く顔をあげた。



そういえば、豊。


ジャージ着てない。


「秀に会ってくる。」


「そう。」


「だから、飯は勝手に食っとけ。」


「わかった。」


あたしの返事を聞き終わると立ち上がった豊。


そのまま部屋を出て行った。


今日は一人になりたくなかったな……


昨日が騒がしかったから、一人の空間が落ち着かない。


今まではずっと一人で、その生活に慣れていたはずなのに、たった一日でこの変化。


情けない自分にため息を吐きながら、冷蔵庫を開けた。


冷蔵庫にはラップのかかった皿が入っている。



取り出してみると……


チャーハン。


きっと、豊が2人分作って冷蔵庫に入れておいてくれたんだろう。


さっき、このことを言わないのが豊らしい。


少しだけ温かくなったあたしの心。


一人じゃないって感じさせてくれる豊の存在は、やっぱりあたしにとっては大きいな。