次々に潰れて寝転がる奴らをあたしは冷静な目で見つめていた。
あたしもこんなふうに記憶を飛ばすほど飲みたかったけれど……
やはりあの事が気になる。
もしかしたらと思うと、最初の乾杯以外はアルコールに手を出すことが出来なかった。
誰にもバレないように、酔った振りをする。
「カナちんは酒強いなぁ~。」
もう、半分眠っている翔に絡まれた。
「仕事柄強くなった。」
「仕事柄?えーーカナちんはいつから酒屋さんなのぉ?」
真面目に答えたあたしが馬鹿だった。
もう、酔った振りなどしなくても、コイツらに気付かれることはないな。


