あの男から貰ったマンションを返したいと言ってカナは出掛けて行った。
あの男と最後に会った日から、連絡がとれないらしい。
「もうアイツには関わるな」
そう言いたかったけど、俺には言えない。
カナの家に居候の身の俺は、なんだか勝手に形見の狭い思いを感じていた。
親父と話し合わなければいけないけれど、まだそんな気分にはなれない。
かと言って再就職する気にもなれないし……
何より、カナを一人にするのが不安だった。
俺のいない間に、また姿を消してしまうんじゃないかと……
不安で不安で気が狂いそうだ。
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