「俺の家は浅葱コーポレーション。聞いたことある?」
あるに決まっている。
浅葱コーポレーションといえば、IT業界で今もっとも勢いがある会社。
ホテル経営や老人ホームなどにも進出し、テレビでその名前を見ない日はない。
「俺の父親が会社を大きくした。」
もともとは機械の製造をしていた会社を文ちゃんのお父さんが大きくした。
文ちゃんはそこの長男。
「俺は父親の全てが気に入らなくてね、中学を卒業と同時に家を飛び出したんだ。家にいた頃から悪さばかりしていたから、いずれは勘当されていただろうけど。」
アハッと笑う声はいつもと変わらないのに、文ちゃんの瞳には何も写ってはいないみたい。
始めてみる文ちゃんの表情。
家を飛び出した文ちゃんは、仕事を見つけて働いた。
でも、どこで何をしていても纏わりついてくる“浅葱”の名とお父さんの圧力。
文ちゃんは“浅葱”を捨てるために夜の世界へと足を踏み入れた。


