そんなに大きくはない公園を一周しながらも、俺の脳裏には過去ばかりが流れて行く。


感情に任せ殴りあった日々。


くだらないことに笑い転げた日々。


時間など忘れてバイクをいじっていた日々。


本当にあれから3年もの月日が流れたんだな。



「おい!豊!」



何本目かわからない煙草に火を点けようとしたとき、懐かしい記憶の中に懐かしい声が響いた。


太陽の光に目を細めながら、声のするほうを向くと、そこには秀の姿が……


スーツを着ている秀を見るのは初めてではないけれど、何度見てもしっくりとこない。


「悪いな。」


「車くらいいいけど、何でまたこんな所にいるんだよ?」


道路には黒塗りの車が2台。


「カナがここに引っ越して来たんだよ。」


真っすぐに秀の瞳を見つめているはずなのに、焦点が合わないような気がする……


「ここって?まさか、元豊の家か?」


「あぁ。」


煙を吹き出しながら、顎でアパートのほうを指すとタイミング良く、カナが出てくる。