だからといってお前を手放す気などないし、再会したことを後悔しているわけでもない。
ただ……
ただ……
「そういえば……買い物行かなきゃ。」
「あっ?」
段ボールの中身を取り出していたカナが突然その場に立ち上がった。
「布団もないし、家具も食料も何もない。」
「計画性がない奴。」
「取り敢えず引っ越すことしか頭になかった。」
「買い物行くなら、車いるな。」
俺は小さくため息を吐いてから、PHSを手に取った。
「自分でなんとかする!ため息まで吐かれて、豊の世話になんかなりたくねぇよ!」
右耳には呼び出し音、左耳にはカナの怒鳴り声。
別に嫌な意味でため息を吐いたわけじゃない。
やれやれ、どうしようもないなといった意味のため息だったんだが……
カナはそんな意味だとは考えもせずに喚き続ける。


