「空いてたんだ。部屋を探しに行って、一番最初に案内されたのがここだった。」
偶然……
なんだろうけど、そんな言葉だけでは片付けられない。
「だから、ここにした。あたしはあの日からやり直したいんだ。だから、あの日逃げ出した、この場所から始めたい。」
神様なんて信じちゃいないけどよ……
これは神様の仕組んだことなんじゃないかって思ってしまうほどの偶然だった。
「ダメだったか……?」
強気だったカナが不安そうに俺の顔を覗き込む。
ドサッ……
俺は混乱したまま抱き締めた。
嬉しさなのか…
懐かしさなのか…
安心感なのか…
どんな感情なのかわからないけれど、ただお前を抱き締めたかった。
お前はここにいると肌で感じていたかった。


