豊が部屋に入ったのを確認したあたしは真っ直ぐに浅葱の目を見つめた。


「さっき豊が言っていた事は事実で……偶然再会しました。それで、あたしも豊とやり直したいって思ってます。」


「……そうか。」


浅葱は落ち込む素振りも、怒る素振りも見せずに微笑んだ。



「浅葱さんにこんな素晴らしい部屋まで用意してもらって、勝手なこと言ってるのはわかってます。でも、この気持ちは変えられません。」



「大丈夫だよ。僕は嬉しいんだから。」



嬉しい?


あたしの目には微笑んでいる浅葱の姿は恐怖にしか感じない。


怒りを通り越しているような……



「浅葱さんとここで暮らす事を選んだときは、自分がこんな気持ちになるなんて思ってもいませんでした。」



「ゆめかちゃん。いいんだよ。僕は本当に心から嬉しいんだ。」



そんな言葉信じられるわけなんてない。