扉を開き、出て行ったお前の背中は強い瞳とは裏腹に、物凄く寂しそうだった……
不安そうだった……
静香がこの世から消えたあの日のように。
俺が出て行けば話はややこしくなるとわかってはいても、また消えてしまいそうなお前の背中をそのままにしておくことは出来なかった。
ガチャ
扉を開け、居間へと一歩一歩確かめるように近づいてゆく。
話し声の聞こえない居間のドアを開くと、そこには向かい合わせに座るお前と中年の男の姿が現れた。
「豊……。」
俺に気付いた途端に縋るような声を出すカナ。
お前は見た目以上に怖がりで、臆病だったことを思い出したよ。
「君もこっちへ来て話を聞かせてくれないか?」
俺の存在に驚くわけでも、怒るわけでもない男は穏やかに俺に向かって微笑んだ。


