浅葱が買い与えてくれたマンションに着くと、あたし達はどちらからというわけでもなくお互いを求め合った。


口下手なあたし達が口を開けば、再び傷つけ合ってしまうかもしれない。


理解されないもどかしさに押さえきれない苛立ちが押し寄せてくるかもしれない。


でも、こうして体温を重ねていれば、あたし達がどれだけお互いを必要としているかがわかる。


トクントクンと速さを増す豊の脈があたしの肌から伝わってくるんだ。



「カナ……。カナ……。」


絡み合う舌をほどくと、豊はあたしの名前を何度も呼んだ。


「…カナ。こうしてお前の名前を呼びたかった。」


火照りだした豊の体があたしの体の上に重なり、ベッドがゆっくりと沈む。


あたしは豊の顔を見上げ、首の後ろに手を回した。