「ついでだから、言わせてもらうけど…――カナは何もわかってない。それに贅沢すぎる。今まで周りの人の気持ちを少しでも考えた事ある?みんながどんな思いでこの3年間を過ごしてきたかわかる?」
「あたしが贅沢だって?」
明美の言葉に対して、どうしようもない怒りが込み上げてくる。
だって……
あたしは自分の我侭でこの道を選んだわけじゃない。
あたしだって苦しんできた。
「カナの言いたいことならわかるよ。自分だって苦しんでるとでも言いたいんでしょ?一人だけ逃げ出したカナに何がわかるのよ?翔さんの苦しみや、それを支える豊さんの苦しみ、そのすべてから目を逸らしたカナに何がわかるの?」
これ以上明美に何かを言われたらあたしの心が崩れ落ちてしまうかもしれない。
無意識にそう感じたあたしはその場に立ち上がる。
「本当の事を言われたら、今度は私からも逃げるの?」
挑発的な明美の言動は、一体何を言いたいのかわからない。
「それ以上言うな。」
あたしはその場に立ち竦み、力いっぱい握りこぶしを作った。


