心臓の音が五月蝿いくらいにあたしの体の中で響き渡る。 こっち向かないで…… 豊。 背中だけでわかってしまう豊の存在。 もしかしたら、この目が見えなかったとしても豊の存在は感じられるかもしれない。 豊の匂いや雰囲気…―― 豊のすべてにあたしの体は反応してしまうから。 「カナ……。」 振り向いた豊は切ない表情であたしの名前を呼ぶ。 どうしてここに? どうして今日、ここにいるの?