煌びやかなネオン。



歌うような声。



飛びかう札束。



「ゆめか。早く用意して」



「はいはーい」



あたしはランジェリーショップに売ってそうな、キャミソールワンピを身に纏い唇にリップをあてる。



9センチもあるピンヒールをカツカツと鳴らしながら、ステージの上へと足を踏み入れた。



「浅葱さーん。今日も来てくれたんですか?」



鼻にかかるその声は、このステージでは欠かせない。



「どうしても、ゆめかちゃんに会いたくてね」



あたしの太股を撫で回しながら、瞳を輝かせるこの男はあたしの大切な札束。



「お仕事大変なのに嬉しいです」



あたしはお決まり台詞を並べ立て、浅葱の気分を損ねないようにと、それだけに全神経を集中させた。



このステージに上がり初めて1年が経とうとしてるけど、あたしにはこの1年が物凄く長かった。



1ヶ月が、1週間が、毎日が長い。



そして、これから始まる時間は何よりも長く感じるんだ。