お前を待ち続けて、もう2週間が過ぎようとしていた。


一向に姿を見せないお前に、会いたい気持ちばかりが膨らんでゆく。


「期限を決めて待っているのか?」


だんだんとお酒の量が増えていることを心配してくれているのか、文さんはカウンター越しに酒の入っているグラスを手に取った。


「来るまで待ちますよ。」


「そうか。今日はこれにしておけ。」


そう言いながら酒の代わりに置かれたのは透明な液体。


俺はそれを一気に飲み干した。


日本酒や焼酎なわけけないよな…


空になったグラスを指先でつまむように持ち上げ、左右に揺らすと、少しだけ残っていた液体がグラスの中を動き回る。


「水に金なんか払う気はないっすよ。」


やりきれない想いからか、酔っ払っているのか、訳のわからないことを口にしてしまう。


俺の言葉に文さんは苦笑いをしながら「もちろん無料だ。」とおかわりをくれた。