ドスッ
道の真ん中で立ちすくむ俺に誰かが思い切りぶつかった。
またかよ……
心の中でそう呟いてから、俺は後ろへと振り向いた。
「申し訳ない。ちょっと余所見をしていて。」
「いえ。こちらこそ。」
厄介な奴がぶつかってきたわけではなかったんだ…と俺は安心して歩き出そうとしたとき。
「この間の……カナの…。」
言われたその言葉を聞き逃しはしなかった。
「カナ?」
今度は勢いよくぶつかってきた男のほうへと振り向く。
「人違いだったかな?」
柔らかな話し方をしながら、時折見せるこの鋭い目付き。
「マスター?」
一度見れば忘れられない。


