2人が帰った途端に静寂に包まれる室内。



あたしはこの時間が嫌いだった。



いつもならお風呂から出ると、すぐに眠ってしまうから、感じないんだけど……



こんな風に来客があったりすると眠るタイミングを逃してしまう。



ゴクゴクっとビールを飲み干す自分の喉の音がやけに耳に障る中、目を閉じ再び夢の世界に浸っていた。



きっとあたしが心の底から笑えた時代。



大切なものをしっかりとこの手で掴んでいた時代。



夢の中だけでもいいから、何度だってあの頃に戻りたい。



そして、会いたい人がいる。



夢の中だけでいい。



それだけで十分だから、会いに来て。