「ねっ!近くにいたでしょ?」
「そうみたいだな」
眩しすぎる明美の笑顔から視線を逸らし、マンションへと歩き出す。
「ここに住んでんの?」
「そうだけど……」
エレベーターホールに響き渡る明美の馬鹿でかい声。
「また、いいとこに住んでるね」
「色々とあって」
「ここもお店の寮?」
エレベーターを降り、家のドアを開けると、「最上階じゃん!!」とテンションが上がり気味の明美がバタバタと家の中へ入ってゆく。
「店は辞めたから」
リビングの大きな窓ガラスにへばりついている明美に飲み物を出そうと考えたけど、冷蔵庫には何も入って……いるはずが……
あった。
冷蔵庫を開けると缶ビールやジュースが並んでいる。
そして、おつまみなんかも揃えてあるし…――
「私、ビールね。辞めたって?別の店に移ったの?」
缶ビールとおつまみをテーブルの上に並べた。
「もう夜は卒業した」
「はっ?じゃあ何でこんなとこ?」
ビールに口をつけた明美は目を真ん丸くしてあたしをジッと見つめてる。


