time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

玄関に入っただけでわかるお洒落なつくりはデザイナーズマンションか何かだろう。


女性向な壁紙は申し訳ないがあたし好みじゃない。


天井までの大きな下駄箱が左手についている玄関に続くように廊下があり、両サイドには1つずつドアが付いていた。


浅葱は躊躇う事もなく正面にあるガラスのドアを開いた。


光に吸い込まれるように、その部屋に入ると……


そこはあたしなんかが住んでいいのかってくらい日の差した明るいリビングだった。



「どう?この部屋が一番日当たりが良かったんだ」


「……すごいです」


前のマンションは立地条件がいいせいか、周りに沢山のマンションが立っていて、リビングにこんなふうに日が差し込むことなんてなかった。


曇り空の日なんかは日中でも照明をつけなければいけない。


「気に入ってもらえたなら良かったよ」


大きな窓が並び、左奥には対面キッチンも設置されている。


これが噂の対面キッチンか…――


現実に起こったこととは思えないこの状況に、頭の中はパニックを起こす。