「お酒を飲みながら、目を見て話せるようになった。そして、触れる事もできた。そしたら、どこまで大丈夫なのか確かめたくなってしまって……ゆめかちゃんがお金に困っていることを知って、今の店を紹介したんだ」


あたしは利用されていたんだ。


別にそれがショックなわけではない。


利用していたのはお互い様だから……


ただ、そんなこと少しも気付かなかった自分自身に驚いていた。



「僕の勝手に付き合わせてしまったことは申し訳なかったと思ってる。ただ、これからもゆめかちゃんと一緒にいたいんだ。もちろん僕は既婚者だから、彼女になって欲しいとは思っていない。ゆめかちゃんの人生を縛る気もないし」


「そんなこと謝らないで。あたしは今の店に移ったことを後悔なんてしていない。どんな理由でも紹介してもらえてよかったと思っているから」



あたしの言葉に一瞬だけこちらを見た浅葱は泣いているのかと思うくらい顔を歪ませていた。


そっと浅葱の背中に触れると、浅葱は体をビクつかせる。


お店でもそうだったけど、きっと突然触られる事に恐怖心があるのかもしれない。


浅葱の背中へと伸ばした手をゆっくりと引っ込めた。


すると浅葱はあたしの目を見つめ、口を開く。