私の家から学校まで約20分。
いつもは音楽を聴きながら帰るこの通学路だけど、今日は都波の話をおともにこの道を歩いているのがなんだか変。
変というか、なんていうか。
ちょっと見る景色が違うっていうか……。
隣を見れば楽しそうに話す彼だけど、たまに懐かしむような切ない顔をするから、不覚にも心に何かが突き刺さった。
家が見えてきた頃。
十字路の真ん中に立ち止まって私を見た都波は急に「家まで送るよ」と言い出した。
ドキリと嫌な音を立てた私の心臓。
変な汗までかいてきた。
「いい」
「遠慮なんてしなくていいんだよ?せっかくここまで来、」
「いいから!……ぁ、ごめん、」
意外にも飛び出た声がそこら中に響いて、ギュッとスクバの柄を握りしめる。
都波の家はこの十字路を左折したその先にあると、さっきの会話の中で聞いていた。
私はそのまま真っ直ぐ行って突き当たりを右に曲がった所にある。
一戸建て。
母のお気に入りの青い屋根は、当時、父からのちょっとしたサプライズプレゼントだと随分前に母から聞いた。
はたから見たその家は充分幸せな家庭なんだろうと誰もが思うことだろう。
玄関前には花壇が置いてあるし、華やかそうな家。
そんな嘘つきな家まで私を送るってことは、その家を彼に見られるということ。
腹の底から見せたくないと思った。



