それをぐっと押し堪えて私は「泣いてないし」なんて強がった。
少しうわずった声にニヤリと笑った都波が「ふーん」なんてわざとらしく頷く。
その顔に身体中がくすぐったく疼き出して、私は身をひるがえして足早に校門へ向かった。
後ろから「えっ、夏澄ちゃん!?待ってよ!」なんて慌てる声に少し笑うと、瞬間移動でもしたのか隣には都波がいて、
「今笑ってたよね?!ね!?」なんてキラキラした瞳で見つめるもんだから、あからさまに顔をしかめてあげた。
結局一緒に帰えることになった私たちだけど、都波とは別の方向だと勝手に思い込んでいた自分はそのまま一緒に右折した彼に深いため息をこぼした。
「えっ、なんでそんな嫌な顔するの。俺は嬉しいのに!」
「……はぁ」
いや、あんたの気持ちなんて知らないよ。
てっきりここの別れ道で終わりかと思ったのに。
まさか家が同じ方向だったなんて考えもしなかった。はぁ。どこまでしつこいんだ。
金魚のフンか!あんたは!
「これでずっと一緒に帰れるねっ」
「無いから」
「え〜!夏澄ちゃんひどい」
「これから先も絶対無いから」
言葉ひとつひとつに重みを乗せて言うけれど、彼には通用していないみたいで。
実は高1になると同時に引っ越してきたんだと急に語りだして、私は相づちをすることなくただ聞き流していた。



