叫べ、叫べ、大きく叫べ!


相変わらずなその笑顔に思わず胸の奥がギュッと締めつけられる。


なにこれ。変。この顔嫌いなのに。なんで……。



「ごめんね。あいつら馬鹿なこと言って。本当にごめん!」

「いや、別に。本当に謝らなくていいよ事実だから。……あ、糸口くんにも言っておいて。私に謝る必要なんてな、」

「ばかだね夏澄ちゃんは」

「は?」



なに、この人。いま『ばか』って言った?


いや馬鹿なのはそっちでしょ。
謝らなくていいことをなんでそんな必死になってそこまでするの?
私なんかどうってことないのに。
こんな私なんてほっといてくれればいいのに。



「嫌な思いさせたんだから、謝るに決まってんじゃん。それに、」


そっと私の手をとって、ゆっくり立ち上がった都波を見上げる。
温かいその手に包まれた私は不覚にもドキッとして、胸が熱くなった。


スっと目元に触れた彼の親指に頭の中はハテナで埋め尽くされて。



「夏澄ちゃん。さっき泣いてたみたいじゃん?」


知らなかったの?とでも言うようにふわっと笑うその表情は今まで見たことないくらい優しさで。



「夏澄ちゃんが泣くくらい嫌な思いしてた証拠でしょ?真守が教えてくれたんだ。……だから本当にごめんね」


涙は無いのに、彼はそこにあるかのように目元を優しく触れた。


その優しい眼差しも、その優しい手つきも、胸に染みてなんだか泣きそうになった。