痛い、冷たい、熱い……。
こんなの夏の暑さじゃない。
あの時みたいな、暑さだ。
だって。都波がっ。
『夏澄ちゃんが好き』
そう聞こえた。
空耳かもしれない。
だって、途切れ途切れに聞こえた声だったから。
途切れ途切れに聞こえる男同士の話し声は、正直何を言っているのか分からなかった。
よく聞こえたのは『は?』『んな事っ』『だからっ』そんな曖昧な言葉ばっかで。
それなのに、いきなり飛び込んできたその言葉はハッキリと届いて。
嘘であってほしい。空耳だと言って欲しい。
当て続けていたおでこはロッカーの冷たさが移ったようでヒンヤリしている。
にもかかわらず、もっと冷たさを欲してて、少しおでこをずらすと再び熱を奪われた。
しばらくじっとこうしていても彼はもうじきやって来てしまうのだと思い立って、校門へ向かおうとおでこを離すと、人の気配を感じた。
横を見るとそこには。
「……っ」
都波がいた。
息が荒くて、ロッカーに手を付きながら呼吸を整えているその様子を不思議と見つめていると。
「ちょ、っとまって……、はぁ、……走った走った。あー……」
ロッカーに背をつけて上を向いた彼はずりずり〜っとしゃがんで、それからふぅと息を吐いて私を見上げた。



