「……なんですか」
「ずっと聞いてたでしょ。ごめんな。あいつら思うより口が先に出てくる奴だから。特にツルギは。俺で申し訳ないけど、謝るよ。ごめん」
彼は丁寧に頭を下げた。
『あいつら』というのは、都波以外を指しているのだろう。
教室からは未だに揉み合っている音がする。
私に気付いていたのはこの人だけなんだと確信する。
「いや。別に何とも思ってませんから。謝らなくても……本当のことなので別に気にしないでください」
そう言って私はやっとその場を立ち去った。
そして耳に届いてしまった都波の声。
歩く速度を上げてどこかに身を投げ出してしまいたかった。
なんで階段なんか下りてるんだろう。
こういう時こそ屋上へ行くべきなんじゃないの?
顔が、熱い。熱くてたまらない。
きっと誰もが見たって茹でダコのように紅く染まっているはず。
今すれ違った人は私を見て『顔が赤い』なんて思ってるんじゃないかってひとりでに妄想が激しくなる。
冷たさを求めて、自分のロッカーへ駆け込んだ。
昇降口のすぐのところにそれはズラリと有って、私は昇降口真ん中辺りの列のロッカー。その列のちょうど真ん中の上段が私になる。
軽くおでこを付けたつもりが、思いのほか強く当たってしまったようでデンと痛みを感じた。



