再び黒く渦を巻きだした胸の中は午後の授業が始まるまでそこに在った。
授業中、都波とのメッセージのやり取りのお陰か気を紛らわすことができたみたいで、それはいつの間にか消えていた。
そうしている間も頭の隅で考えていたのは、屋上で会った彼のこと。
名前も言わず、どこのクラスなのかも分からないその人は初めて見たのになぜかあまりそう感じさせなかった。
少しかっこいいなんてあの寝顔だけ見て思ってしまったけれど、起きててもかっこよかった……。
私に好きな男子のタイプなんて有るかも分からないのに、そう感じてしまったのなら、彼は私にとってタイプにすぎないのかな……。
さっぱりした黒髪に、眠そうな目は切れ長で、虚ろな瞳はなぜか吸い込まれてしまいそう。だけど深い綺麗な黒い瞳。
『ここからの景色ってなんも無いけどさ、あんま変なこと考えるなよ』
彼もそんな風にこの街は見えるのか、そう思うけれど、
変なこと考えるなって言われたって考えてしまうんだからそう簡単にはできるはずがないよ。
私の見ている景色は、この街よりも殺風景だから。
少なくとも彼の方がいい景色を見れているはずなんじゃないかな。
一言、二言ぐらいしか話さなかった人だけれど、私よりは全然見る景色が違うはず。



