叫べ、叫べ、大きく叫べ!


目線だけこちらに向けた男子から慌てたように距離をとったのは、思ったより顔が近くにあったから。


無意識に覗き込んでしまったみたい。

何せ、寝ている知らない男子に私は“かっこいい”だなんて思ってしまったから。



「……あ来た」


見上げられたままそう言った彼に私は首を傾げる。


飽きた? なにに。


初対面の人に向かってその発言は無いんじゃないでしょうか。
私の顔見て『飽きた』だなんて、なんて無神経な人なんだ。



「あの、」

「あんたさ、この前死にたいとか思ってた?」

「え?」


そう言うとむくりと起き上がって、私に向き直って胡座を組む。


驚きのあまり言葉が出なかった。
瞬きくらいしか出来ないでいると、透かさずその人が言う。



「あそこから下見てたからさ」


『あそこ』と言って指したのはフェンスだった。


その瞬間、あの時のことを言っているんだと理解した。


でも、なんで……。



「俺、いつもあそこら辺に居るからさ。たまたま見えたっていうか……」


そして指さした方向はこの屋上の後ろの方。
ここからだと死角になるその場所は小さなベンチが1つと大きなパイプ管が数個入り組んでいる。


そんな所までは足を運ばない私だから、そこに居たなんて全然気付くはずもなかった。