───ヴヴヴ、ヴヴヴ
そのリズミカルな振動は何かを伝って私の机を震わせている。
よく聞くその音はスマホから響くバイブレーションだと思い、目の前にいる彼を見た。
「ん?」
「スマホ、都波くんからじゃないの?」
そう言うとすぐポケットから取り出して確認する都波は 「俺じゃないよ」と画面を見せてきた。
いや、別にそこまでしなくても……と思っていると「夏澄ちゃんのじゃない?」とスクバを指さす。
いや、まさか──と思いつつ手を突っ込むと、それは震えていた。
慌てて取り出し、画面を見ると【お母さん】と表示されていて、それは電話だと気付く。
すると、違う汗が湧き上がってゴクリと生唾を呑み込んだ。
じっと画面とにらめっこする私に都波は「出ないの?」なんて私の心情を知らない彼が首をかしげて言うから、小さく深呼吸をして、電話に出た。
「───お母さん?どうかし、」
《あんたでしょ。破ったの》
「……ぇ」
《あんたでしょって聞いてんの。とぼけるなよ》
「…………」
《黙ってるってことはアンタがやったってことだよね?ねえ聞いてんの? ……はあ、もういいや》
投げやりに、呆れたように、そして一方的に言い放った母は勝手に電話を切った。
心底私と話したくないようで、以前とはガラリと声のトーンも低くなったなと暗くなった画面を見ながら思う。



