視界は暗かった。
でも、さっき見ていた景色とは全く違う暗さだ。
自然とため息がでて、望んでいなかった景色に目を手で塞いだ。
あぁ夢から覚めてしまったんだ。
この真っ暗のままがよかったのに。
目を手で覆ったまま私はそう心で嘆く。
これから私は怒られるんだ。
微かに聞こえるリズムを切る音は、母が帰ってきていることを示している。
また、カレーなのかな……。
重い体をむくりと起き上がらせて、ドアの向こうを見据えた。
部屋から出たくない。出たら危険だ。
何の理由もなしに怒鳴られてしまうのかもしれない。
怖い。
ドアに近付くにつれて心臓の動きが早まっていく。
息苦しい。
なんで部屋から出るだけなのに。
母と顔を合わせるだけなのに。
夕飯を食べるだけなのに。
こんな怖い思いをしなくちゃいけないのだろう。



