時が止まったみたいにその場が静寂に包まれた。その中にみんなの息遣いだけが聞こえる。
糸口くんは一体何を言っているの。
都波も何か言いなよ。
なんで何も言わないの。
やっぱり何か隠してるの……?
みんなの視線は都波に集中している。
「もう決めたんだろ。だったらもう行かせてやんなよ」
「…………」
「これで終わりにすんだろ。ケジメつけるって言ったよな。いつまで待たせるつもり」
2人だけの会話に頭の中が謎めいて渦を巻く。
なにこの会話。
終わり? ケジメ? 待たせる?
どういうこと?
全く状況が掴めない。
さっきまで笑いあってたのになんで急にこんなピリついてるの。
みんなも何か言っ───!
あれ……なんか……私だけ……。
「みんなは何か知ってるの……?」
気付けばそう口を開いてた。
都波に集まっていた視線が私に代わる。だけど直ぐに逸らされてしまった。
特に文香の挙動は不自然で。目が凄く泳いでる。分かりやすすぎる。
「文香。何か知ってる?」
「っ、いや、何も……」
そう答えてくれた彼女の肩がびくりと震えた。心做しか声も震えてる。
親友を責め立てるつもりはないけれど、あたかも知ってそうな顔をしているのにそこまで隠すことって一体何なのだろう。
そんなに知って欲しくないものなの?
じゃあなんで。
糸口くんが言ってたけど、高校に連れてきたのは “私のため” ってどういうこと。
「都波、何企んでるの」
「別に企んでなんか。ただ、」
「ただ何? せっかく楽しんでたのに。急にこんな事になって。 “私のため” って何?終わりって? ケジメってなに? みんなは私に何を隠して、」
「夏澄!」
文香が私を呼んだ。
咄嗟に睨む。
彼女は今にも泣きそうだ。
なんでそんな顔するの。だったら隠し事とか紛らわしいことしないでよ。
「……私帰るね」
黒板の上にある時計に目を通すともうすぐ18時半になる頃だった。
こんな気分になるんだったら初めから行くなんて言わなきゃよかった。
千木良くんのところに居た方が楽しいままだった気がする。
教室を出ようとみんなから離れようとした時、バンと机を叩く音が響いた。



