叫べ、叫べ、大きく叫べ!


約2年ぶりの母校はどこを通っても、どこを見ても懐かしいものばかりだ。

次々と当時の思い出が蘇ってくる。


今いる職員室も大学受験中は何度もお世話になった場所だ。


印刷仕立てのあたたかな紙の匂いに入り交じってそこら中にコーヒーの香りが漂っているこの感じが堪らなく懐かしい。


少し残念なのはお世話になった先生が異動してしまったこと。

ここにいる先生もほとんど見たことのない人ばかりだ。


────とはいっても、中嶋先生含め今は5人しかみえてないけど。



「じゃ、また帰る時は顔出しにここに来いよ。好きに廻ってくれて構わないから。ただし、悪さだけはすんじゃないぞ。……な、“生徒会長” 」


先生は都波の肩をポンと触れると窓側へ向かって行った。
きっとあそこら辺が先生の席なのだろう。



「先生って今はあそこなんだね」

「窓側の席ってなんか嬉しいけどさぁ、……さすがにあれは可哀想だわ」


文香が指す「あれ」とは神々しく照らされた状態でいる先生のことだ。

確かに可哀想で、なおかつ暑そう。


カーテンを閉めててもなお、強い陽射しは容赦なく先生を照らし続けているもんだから、熱中症には呉々も気を付けていただきたい。


と切に願いながら私たちは職員室を後にした。



次向かう場所へ足を運ばせながら会話は更に弾んでいく。


ふと横目にズラリと並んだロッカーが目に入った。

ちょうど目線の先は元私のロッカーであった場所だ。


視界から外れても思い出は素早く蘇ってくる。


3年間ずっとお世話になったその場所は、上段にあったおかげで荷物が取り出しやすかったし、何より楽だった。


だけどあの日だけは下段がよかったな、って思った────文香たちと親しくなる前のあの日。

都波の想いを初めて耳にしたあの日。

私の元へ息を切らしてやって来た都波の苦しそうな顔と眩しい笑顔。


忘れたくても忘れられない。


一緒に帰るつもりなんて1ミリもない私にしつこく付きまとう彼が心底苦手で。

だけど仕方なくて……。


自分の家すらも見られたくなかったのに「ついてきちゃった」なんて言って。

何度も思ってきた疑問をぶつけた。


それなのに───。