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「夏澄ー!」
店内に響き渡る私の名前。
途端にピタリと止んだ食事中の音を目の当たりにし、顔が熱くなった。
せっかく真夏の空気から解放されたというのに!と窓側奥の席から覗く顔に視線を向けながら
店員さんに待ち人が居るとだけ伝えると足早に声の主の元へ駆けつけた。
相変わらず悪気のない元気な親友に肩を少し小突いてやるとその向かい側に座っていたもう1人の親友と目が合う。
彼女も呆れている様子で苦笑いを浮かべていた。
「ちょっと2人ともなんでそんな顔してるの!?」
「え? そんな顔って?」
「どんな顔?」
「こんな顔だよ……ってやらすんじゃないよこらっ」
文香のノリツッコミに皐月と私は堪えきれず吹くように笑う。
皐月の隣に腰をかけながらこの空間に心地良さを感じて、懐かしみを持った。
こうしてゆっくり集まるのは高校を卒業してから進学祝いに集まったぶりだ。
私は大学生に。
文香は専門学生。皐月は短大生になった。
私服のせいか2人とも大人びいていて綺麗だなと感心していると文香が気だるそうに口を開いた。
「てかこれから男子も来るんだっけー?」
「うん。みんなで集まるの本当久しぶりすぎるからなんか変な汗かいてきた」
「つってもさぁ、メイはあんま久しぶりじゃないやついるじゃん」
「真田くんとか 真田くんとか 真田くんとか」
「ちょ、夏澄ちゃんっ!?」
動揺する皐月の表情があまりにも乙女でもっとからかいたくなる。文香もいいぞいいぞ とニヤついている。
そんな私たちを跳ね除けるかのように、皐月は慌てて話題を変えようとメニュー表を広げた。
残念ながら馴染み深いこのファミレスではメニュー表を広げて悩む なんてことは無くて、あっさりと決まってしまった私たちは尽かさず真田くんと皐月の話題に沸騰中だ。
2人が付き合いだしたのは高校卒業してからすぐのこと。
進学祝いで3人集まった時に報告を受けて、文香と一緒に石化したっけ。
それほど衝撃的で、何せ今まで皐月の恋愛事情なんて微塵も感じられなかったことにショックを受けた。
だっていつも一緒にいたから。
「てか剣のどこがいいの。ちっこいし、可愛い系だし、生意k、」
「───なぁそれ俺の事言ってんの?」
「ゲッ」
降ってきた声にいち早く反応した文香は見上げるなり顔を引き攣らせている。
あらら。文香言い訳なんて出来ないよ。だって真田くんの可愛らしい顔が今にも沸騰しそうだもの……。



