叫べ、叫べ、大きく叫べ!


「千木良くんが好きだよ」

「……」

「友達としてじゃない。それ以上の関係になりたいくらい千木良くんが好き」




人生はじめての告白。
口から飛び出るほどの緊張なんて全くない。静かすぎる私の心臓。だけど声は震えていた。


言葉にしただけで溢れてくる“好き”だらけの感情が涙腺を刺激する。


オレンジ色の街がぼやけていく。熱いものが頬を伝う。拭っても静かに伝うそれはまるで彼に触れて欲しくて堪らなさそうだ。


千木良くんに触れたいよ。早く戻ってきてよ。抱きしめてよ。この涙止めてよ。



「千木良くんは、友達としてかもしれないけど、私は違うから。 ……友達以上恋人未満、とも思ってないから、っ」


あの夜を思い出して切なくなる。


彼は私に「好き」と言ったけどそれは友達としてだとハッキリ言っていた。

手を繋いだり、抱き合ったり、キスしようとしたのだって、“友達以上恋人未満”だからなんだと思い知った。


悲しかった。全然嬉しくなかった。自覚しだしたら特に。


好きすぎるんだ。千木良くんと恋人になりたいくらい好きすぎて。気付いたらこんなにも大好きになっていた。

でもそれは叶わないのかもしれない。今だって何も言ってくれやしない。ずっと私を見開いたまま何も。


少し夢見ていた告白シーンとはかけ離れているようで、実際はこんなもんか、なんてふとした瞬間に思う。



「あははっ、ごめん……なんか変なこと言ったね。今の聞かなかったことにしといて」


右耳にかけてあった髪束を散らしてそう言う。

彼に顔を見られたくない一心で。泣いているからとかじゃない。もう涙なんてない。むしろ笑顔だ。


こうでもしてないと色々崩れちゃいそうだから。


辺りはすっかり夜色へと移り変わっていて、そろそろ帰ろうかなと隣を見る。


けど、彼はどこにもいなかった。


やけに静かだとは思ってはいたけれど、姿を消していたとは思っていなかった私は戸惑いの声を上げて、彼を呼ぶ。


何度呼んでも返事もなく、姿も見せてくれない。


……勝手に消えるとか……一言言ってくれてもいいのに……。