なんと滑稽な叫び声だっただろうか。終始震えていた気がする。出だしなんてみっともないくらい弱々しかった。
正直、とんでもなく恥ずかしい。物凄く恥ずかしいんですけど。
誰ですか。私に恥ずかしくないと言ったのは。心からスッキリすると言ったのは。全くこれっぽっちもスッキリなんてしない。むしろ恥ずかしさだけが倍増している気がするんですけど!
今の私絶対顔真っ赤。顔も、身体も暑っついもん。
……直接会ったら抗議してやる。絶対。
それにしても叫んだ。お腹のそこから吐き出すように。汚いものは何一つないけれど。ただ叫んだだけ。
この声はどこまで届いたのだろう。へなちょこな叫び声なんて誰にも聞いて欲しくないけれど、気付けば身が軽くなったような感覚がした。
……これが“スッキリ”したという現象なのだろうか? ……いや、思っていたものと違う身の軽さだ。心做しかフワフワと宙に浮くような感じがする。
下を向くけれど足はしっかりコンクリートに付着している。きっと風がほんのわずか強くなったせいだと思うことにした。
──なのに。
隣にはいつの間にか“彼”が立っていた。
驚きを通り越した私は声を失ってしまったかのように口だけを動かすばかりで。
えっ、なんで、エッ、……一体、いつから……え???
「ふはっ、香澄に呼ばれた気がしたから」
「え、ああ、そ……、あの……えっと……き、聞いたりは……」
「聞いてない」
即答してくれたものの、鼻から抜けた音に心拍数が急上昇した。今、絶対笑ったよね?
「嘘つき!笑ってるじゃん。絶対聞いてたって顔してるし!」
「あははっ、香澄らしい叫び方だったじゃんンン……ふっ」
「〜〜〜っ、笑うなら思い切り笑いなさいよ! 堪えられてると逆に恥ずかしいカらっ」
そういうと早速お腹を抱えて笑うもんだから、今すぐにでも溶けてなくなりたい衝動に駆られるわけで。
そうすることもできるわけがない私はしゃがみ、ただ顔を紅くさせて手で隠すことしか出来なかった。



