叫べ、叫べ、大きく叫べ!


今年最後の授業も難なく終え、『次会うのは初詣ね!』と笑顔でみんなと別れた後、私は屋上へやってきた。もちろん1人で。


久しぶりの屋上は何一つ変わってなかったけれど、肌に突き刺すような寒さが季節の巡りを感じさせた。


あの時はやっと秋に入った頃だったっけ。
今より全然寒さには耐えられてた季節だった気がする。


文化祭が懐かしいなぁ……。


あの時の季節のままがいいなんて思ってしまう。寒ければ一枚羽織ればいいし、暑ければ一枚脱げばいい。自分自身で体温調節ができる気候が一番過ごしやすい。


久しぶりに自分の特等席へと足を運んでより高くなった視界に初めて圧倒された。思わず声が小さく漏れる。


灰色の分厚い雲は相変わらずで、空を覆い尽くしながら流れている。ほんの少しの隙間から白い光が差し込んでいて、まるでスポットライトのように街を照らしているその()に、心から『綺麗』だと思った。


ふと笑ったのは以前の私と比べたから。



髪を、頬を、全身を撫でる冷たい風に身震いする。それでも心地よく感じているのは心が温かいからかもしれない。


呑気に背伸びなんかしてみたり、空気を体内に取り込んだり、無防備にあくびなんかしちゃったり……周りに誰もいないから心置きなく大胆にできるってなんだか気持ちいい。


まさに“私の世界”ってかんじ。




『恥ずかしさも何もかも一度捨ててさ、心から叫んじゃえば?』




以前半透明の千木良くんが言ったことを思い出した。


未だにあの姿で叫んだ彼を私は認めていない。けどこの瞬間は私も違う次元にいるように思えたから……───。





「ぅ、わああああぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁあぁあぁぁぁ───っ、」