叫べ、叫べ、大きく叫べ!


そばでじゃれあっている2人をよそに視線はお揃いのマスコットに目を移し、もうひとつの思い出を蘇らせる――。



放課後、クリスマスデートを楽しく終えた私たちだけど、我が家のクリスマスも今までで一番幸せなひと時を過ごしたのはすっごくいい思い出となった。


初めてなような久しぶりなような……楽しいクリスマスパーティが開かれたのは24日だ。

ちゃんとクリスマスツリーも飾って、食卓は豪華で(全てが手料理ではないけれど、母特製のラザニアは特別美味しかった)、家族みんなで乾杯して笑って……本当に幸せな時間だった。


25日はそれぞれ予定が入っていて。

私は文香と皐月と放課後水族館へ。
栞那は梶原くんと放課後デート。


そして、嬉しいことに夫婦水入らずの時間を作った父たちに真っ先に「行ってらっしゃい!」と姉妹揃って言えたことが何より喜ばしいことだった。


栞那も嬉しそうに梶原くんと放課後デートを楽しんだようで。首元にネックレスがワイシャツ隙間から垣間見えてたのは私と母しか気づかなかった。


母も専業主婦からひとりの女性として華麗な姿をしていて思わず見惚れてしまった。


そんな素敵に着こなした母の姿を父はどう思っていたのか分からないけれど、帰宅した父はある場所ある場所と移動する度に、思い出したようにポツリと「綺麗だったなぁ」と口ずさんでいた。


あれは酔っているのよと呆れながら私たちに注意をするけれど、そんな母も心做しか嬉しそうに見えた。

本人は隠しているつもりかもしれないけれど、目は口ほどに物を言うように、父を見る眼差しや口元の緩み具合が物語っていた――。



本鈴のチャイムが鳴ると初詣を行く計画をした親友たちが「あとでね」とその場を去り、入れ違いに都波がドカッと倒れ込むように着席する。


今日も眠そうだなと思いながら「おはよう」と声を掛けると瞼を擦りながら緩く返した彼に背を向けた。


これがここ最近の一日の始まりだったりするわけだけど、あんなに後ろの席の人をうるさがってた私が少し物足りなさを覚えているなんていうことも、ここ最近の気付きだったりもする。


頬杖をつき窓の外を見る。


空はまだ灰色の分厚い雲がゆっくりと流れている。外は寒そうだけど、ストーブと人数が増えたお陰で室内はホカホカだ。


むしろ暑すぎるくらいかもしれない。


窓ガラスは中嶋先生が教室を出た頃には擦った痕跡も残すことなく再び曇りだしていた。