叫べ、叫べ、大きく叫べ!







クリスマスが過ぎ、今日は冬休み前の登校最終日。


すっかり家を出る時間が遅くなった私だけど、それでも教室に入ると私1人だけだったりする。


この薄暗い教室は心做しか寂しい。以前まではこれが普通で当たり前で『この時間が至福のひととき』だったのに。


人って環境が変われば変わるほど心境はガラリと変わるもんだな、としみじみと感じながら今にも雪が降り出しそうな空模様に目を向けた。


天気予報ではそんな予定は無いと言っていたけど、灰色の分厚い雲は雨を降らすといより雪を降らしたくて堪らそうな顔をしている気がする。


……これ以上冷え込むのはやめていただきたい。



ストーブをつけたものの差程時間は経っていないため空気は冷え込んでいる。人が増えれば暖かくなるはずだけど、まだ8時15分。

あと15分は待たないと人が増えてこないからしばらく暖かくなるまで待つことにする。


ふと後ろの席を見た。


今日も都波は遅いみたい。いや、毎日か。

ここ最近はずっとチャイムギリギリに入ってくる彼。いつも眠そうなその様子にちょっと心配してる。


何をしているのかまでは気にならない、というのは嘘にはなるけど。人様の事情を勝手に聞き出そうとするのは腑に落ちないから踏み込まない。


それにそのうち打ち明けてくれるだろう。彼はそこまで秘密主義ではないから。分かっている事は、危険なことをしているわけじゃないってことくらいだ。


教室が賑やかになってきた頃、文香と皐月がやってきた。


「おはよう」の声とともに不意に目に入った2人のリュックにぶら下がっている小さなマスコット。それは私のスクバにもぶら下がっている。その愛らしいものに頬を緩めた。



「あ゙〜、昨日にもう一度戻りたすぎる!ちょー楽しすぎたっ」

「なんで戻るのさ。わかる。わかるよ。また今度行こーよ、水族館」

「そうだよ文香。また行こう水族館。私もすっごく楽しかった」

「香澄ぃ……今度行ったらあのデカいサメちゃん買う!絶対買う!」

「そうそうその意気だよ」

「え、まって?なんで香澄ちゃんだけ? 私は!?私も一緒だったよね!? お揃い買ったよね!?」


ピンクイルカを指さしながら文香に攻め入る皐月。ちなみに私はシロイルカで、文香はアオイルカだ。



「メイは荷物持ちね☆」

「ウィンクすな!」